越後姫

「越後姫」は1996(平成8)年に生まれた、新潟オリジナル品種のイチゴ。「可憐でみずみずしい新潟のお姫様」の意味で「越後姫」と名付けられました。大粒でジューシー、甘みが強く果肉が柔らかいのが特長です。芳醇な香りと共にぜひ味わって。

新潟の自然を求めUターン就農

「好きでやっている仕事なんでね、常に楽しいんですよ」

真冬のビニールハウスでイチゴの甘い香りが漂う中、「越後姫」の生産者・竹内健二さんが笑った。

「より美味しくするために、日々考える」と竹内健二さん

新潟市で生まれ、高校卒業後に上京。「10年を都会で過ごすうち、新潟の自然の素晴らしさに気づいた」という。Uターンして就農することを決め、新潟市の農家に師事。そこで出会ったのが「越後姫」だった。

「越後姫」は新潟県園芸試験場で育成されたイチゴで、1996(平成8)年に品種登録された。親は「ベルルージュ×女峰」と「とよのか」。円錐形で鮮やかな紅色のイチゴは糖度が高く、甘さが際立つ。果肉は柔らかで香りも芳醇、完熟したものは他にないジューシーさだ。

その可憐でみずみずしい姿からお姫様を連想させ、「越後姫」と名付けられた。寒冷地での栽培に適しており、収穫は 11月頃から6月頃まで。最盛期は春となる。

常にベストな栽培状況を模索

竹内さんは2015(平成27)年に独立。以来、高設栽培で「越後姫」を栽培している。毎日、自動潅水装置で肥料と水を必要な量だけ与え、生育を管理。苗や葉の状態をこまめに観察して通気を良くし、病気の発生等も防いでいる。

イチゴは収穫期が約半年と長いが、育苗の期間はさらに長くて足かけ2年。10月から親株を育て始め、翌年の7月に子苗を切り離して育苗、10月にハウスへ定植する。子苗が枯れないように気を配って大きくし、やっと収穫期にこぎつけても、ハウスの温度やイチゴの水分量でガラリと味が変わるという。

「単に『肥料を与えた、育った』ではなく、より美味しくするためにはどうしたらいいかと考える。試行錯誤の連続ですね」

「良いものができた時の喜びは格別、『美味しかった』の声が一番のご褒美です」と竹内さん。実が柔らかく輸送にはあまり向かない品種だが、そこをクリアし、新潟の美味しいイチゴがもっと広がることを願っているという。

日によって味が変わるイチゴの、ベストな状況を見極める