新潟県は枝豆作付面積日本一!その中でも特におすすめなのが7月下旬〜8月にかけて旬を迎える「新潟茶豆」です。「新潟茶豆」は実の大きさよりもうまみと甘さを優先し、大きくなる前に収穫します。うまみを消耗しないよう気温の低い時間帯に収穫します。
ひと粒に込める農魂
枝豆は、未成熟の大豆である。大豆は日本の食文化にかかせない食品。その栽培の始まりは縄文時代とされる。新潟では「畦豆」と言われ、水田のあぜ道に植えられ、手間をかけなくても秋になれば収穫できる丈夫な作物だった。一般に栽培しやすそうなイメージだが、商品作物としての枝豆となると、話はそう簡単ではない。
県内の枝豆出荷のトップをきる、「弥彦むすめ」の産地・弥彦村の井田地区で枝豆生産農家を営む、渡辺道雄さんを訪ねてみた。
枝豆栽培の準備は、稲刈りが終わると同時に始まる。水を落とし乾いている水田を、枝豆のための畝起こしをする。年が明けほ場の雪融けを待ち、トンネルを設置。2月にハウス内で種の芽出しをし、苗になったらほ場に定植。あとは枝豆の生育状態を見守り、収穫の時を待つ。が、ここからが大変。弥彦山脈から吹き下ろす風は、強く冷たいことからトンネル内の温度管理に気がぬけない。わずかひと吹きの風でも、すぐにトンネル内部の温度が変化する。また熱すぎても生育に影響がでる。弥彦むすめの時期は、どこにも遊びに行けないという。毎日、空の雲行きを見ながら、ほ場のまわりをウロウロしているそうだ。「作況や市場評価には、神経質にならない方がいい。私は、ただいい枝豆を作るだけです」と渡辺道雄さん。
枝豆に深い愛着をもち、県内全域の産地の枝豆販売を任されているJA全農にいがたの石田友信さんは「新潟にはいい品種がたくさん揃っている。それも5月から10月の長い期間にわたり、それぞれに味わいが微妙に違うものが出まわり、味覚に敏感な消費者を飽きさせない組み合わせが確立されていることが大きな特徴です」。
石田さんの役割は、産地と市場を繋ぐこと。産地には「いい品質のものを出して欲しい」とお願いし、一方で県外市場・飲食店・スーパーのバイヤーさんなどに事前情報を提供して販路の拡大に努める。2003(平成15)年から3年間、おなじ部署にいた。当時と比較して「東京などの市場関係者の間で新潟茶豆の知名度があがっています。旨さ・甘さ・香りに評価が高いようです」。
それだけに産地の規模や特徴を考え、どこに売るかを考えることが多くなったそうだ。
※記事中の内容は取材当時のもの(広報誌ふうど2013年夏号 第21号掲載)