南蛮エビ

一般には甘エビと呼ばれていますが、色や形が赤唐辛子(南蛮)に似ているため、新潟では南蛮エビと呼ばれます。とろける甘さとプリッとした食感が特徴です。

ブランド化の種撒き

新潟県では2006(平成18)年から、南蛮エビのブランド化に取組んでいる。新潟県南蛮エビブランド化推進協議会事務局の金子輝さんは、「プロやアマの方から南蛮エビのレシピを募集し、66点集まった中からアマ部門では調理を専攻する学生も入賞し、その作品がレシピ集として印刷発行されました。この意味は大きく、学生が将来にわたり南蛮エビを記憶するモチベーションになりました。将来への種を蒔いたことになります」。 刺身食材に限られていた南蛮エビを見直し、その旨さを改めて認識するいい機会になったという。

新潟漁協の直売所では、南蛮エビ丼が評判がいい。南蛮エビしょうゆ漬けもプリッと身が締まり、おいしい。

新潟県南蛮エビブランド化推進協議会事務局の金子輝さん(新潟港にて)

産地の個性化

県内の南蛮エビの主な産地は佐渡、新潟、上越。この三地区にいくつかの漁港があり、それぞれに個性がある。底引き網とエビ籠の漁法。漁場までの距離。冷蔵法。エビの大きさ。さらに大中小の選別基準など産地によって異なる。水産関係者は、一般に流通している南蛮エビを見て、県内の産地を言い当てる。それほどに産地間や漁港間で違いがある。それは南北に長い海岸線をもつ新潟県の海の中が平準ではなく、変化の富んだものであることの表れでもある。協議会では、こうした風土の違いによって生ずる、産地の地域性を尊重し、それぞれのブランド化の取組みを応援している。

「全国に通用する南蛮エビを供給しようと、漁師さんたちは荷造りや冷蔵法などでも努力し、市場評価が高まっています。ただ消費者のニーズに合った供給をしているかどうか、まだまだ工夫の余地があるようです。寿司屋向けの小口出荷とか、エンドユーザーに新潟産生南蛮エビであることを明示するラベル貼付など、できるところから積上げていきたいと思います」。

※記事中の内容は取材当時のもの(広報誌ふうど2011年秋号 第14号掲載)