新之助

大粒でツヤがあり、コクと甘みに満ちた新潟米「新之助」。新潟県産「コシヒカリ」と肩を並べるトップブランドです。開発期間8年を経て、本格デビューは2017(平成29)年。今や首都圏でも人気のお米に成長しています。

味に厚みのある大粒の米

刈羽三山(霊峰米山、八石山、刈羽黒姫山)に囲まれた自然豊かな柏崎市・水上集落に、山波農場代表の山波剛さんを訪ねた。


集落の過疎化や農業離れを案じた先代が、会社勤めを辞めて農業に専念したのは1985(昭和60)年。1992(平成4)年には山波農場を設立し、長男の剛さんも加わって稲作に勤しんできた。現在は社員が12名いる大所帯。野菜や切り餅の製造・販売も行っている。
米についてはコシヒカリを中心に作付けしてきたが、2017(平成29)年からは一般販売が開始された新ブランド「新之助」の栽培も手がけている。その魅力を、山波さんが語る。


「大粒で、コシヒカリとはまた違った甘み、ほどよい粘りが特長のお米です。私自身、栽培して実食し、コシヒカリと並ぶトップブランドになり得る美味しさだと感じています。お客様にもぜひ、召し上がっていただきたいですね」。

稲がして欲しいことを察知

新之助は新たなニーズに応える ため、米どころ新潟がプライドをかけて開発したものだ。新潟県の「米研究120周年」を記念する品種でもある。


品種の選抜は20万株もの候補からスタート。優れた株を見出し、試験栽培を重ねて8年。食味の良さはもちろん、温暖化に備えて猛暑にも負けない性質を持たせ、コシヒカリより収穫時期を遅くすることで、天候による農業被害のリスクも考慮。ブランドとしての食味・品質を保つべく厳しい栽培基準を設けているが、それは同時に生産技術を磨き、守ることにもつながっている。
稲の背丈が低く倒れにくい反面、「病気にもかかりやすい」と山波さん。健康な生育のためには、「自分の子どもを育てるように、毎日、ほ場で稲と顔を合わせることが大事」という。


「見て、触れて、嗅いで。稲がして欲しいことを見つけ、対処する。そうした日々の愚直な仕事によって、美味 しいお米が届けられます。うちではやる気のある若い子たちが、毎日、稲と格闘しています。その結果が、お客様からの高い評価だと思っています」。

稲との対話を重視する山波剛さん